毎日楽しく北京オリンピックを見ている。
そして、昨日は注目の男子フィギュアスケートのフリー演技が行われた。
注目は羽生結弦くんが４回転アクセルを成功させることができるか？の１点だった。
ショートプログラムで他選手が作った氷の穴にエッジがはまり４回転が１回転になってしまったことにより、金メダルはほぼ絶望。
そうなると、もう４回転アクセルを成功させることができるかだけに心を専念できるのではないかと想像できた。
奇跡的な逆転金メダルのためには、４Aで着氷して他の演技も完璧な演技をして２３０点ぐらい取って上位の選手にプレッシャーをかけて、上位の３人が失敗するのを待つということだった。
実際、ソチ、平昌と羽生のライバル選手だったパトリック・チャン、ネイサン・チェンが通常では考えられない失敗をして羽生が金メダルを獲得していた。
しかし、結果は４Aで立つことはできず、続く4回転サルコーも転倒した。
結果、４位にとどまりメダルも逃した。
しかし、今回、銀メダルや銅メダルで羽生選手が満足できたとは想像できない。
自分の完璧な演技ができなかった時点で結果を受け入れる心の準備はできていたと思う。
そして、競技後のインタビューだった。
「報われない努力だったかもしれないけど、一生懸命頑張りました」
と言って世間にインパクトある言葉を残した。
これに対してネット上の反応は、４Aが認定されたし、人々に感動を与えたから報われない努力ではなかったという論調が多いように感じた。
僕の感じたことは少し違う。
それは、本来、努力が報われる人ってどれぐらいいるか？ということ。
世界中の９９．９％ぐらいの人は努力が報われないことがあることを知っていると思う。
そもそも努力が報われたと感じるのはどういうことだろうか？
受験などの試験に合格すること。仕事で成果が出ること。
スポーツで言えば優勝したりすること。
そういうことがわかりやすい結果で、オリンピックで言えばメダルという結果を残すことが一般的な思いだと思う。
オリンピックに限れば、出場する選手はみんな一生懸命練習してきて本番に挑んでいると思う。
そして、ほとんどの選手はメダルを取れないままに帰国しているはずだ。
ある意味、そういう基準で考えると努力が報われた選手などというのはそういう視点で見れば報われる努力自体が奇跡的なことなのだ。
冷静になって考えてみると、ソチ、平昌でもパトリック・チャン、ネイサン・チェンの方がそれまでの大会では好成績を残していたのだから羽生選手はとても運が良かったともいえる。どちらの大会でも銀メダルだった可能性の方が高かったのだ。
世界選手権やW杯で多く優勝していてもオリンピックでは金メダルに恵まれなかった選手は過去にもたくさんいる。
血のにじむような努力をしていても報われないことが普通なのだ。
逆に、運よくソチ、平昌で金メダルを取ってしまったから今回は必要以上に他の選手よりも「努力が報われなかった」と感じたのだろうと思う。
そもそも、自分に重ね合わせてみても、
僕の人生の経験ではほとんどの努力は報われないものだと感じている。
低いハードルのものはある程度の努力でクリアできたけど、
一生懸命勉強したつもりでも大学受験は浪人しても志望校に合格できなかったし、
資格試験でも運転免許は１回で取れたけど、他の国家試験などは５回以上受験して合格できなかった試験が３～４つほど。合格できたものでも受験６回目だった。
ベンダー試験でも４回目でやっと合格できたものもある。
努力が足りないのかもしれないし、才能ある人なら僕より短い勉強時間で合格していたりもすると思う。
やはり目指しているものが高ければ高いほど努力しても目標を達成できない確率は上がると思う。
今回の羽生選手の挑戦は人類がこれまでできなかったことであり、これまでの数年間勝てなかった選手に勝とうとするものだった。
それを冷静に考えると自分で考えられる最大の努力をしてもかなえられない確率は高かったと思う。
結果を重要視する羽生選手だから、４Aで着氷できず、メダルも逃したということで努力が報われなかったと感じるのだろう。
しかし、彼はすでにオリンピックで２つの金メダルを獲得している。
それに４Aを初めて人類で認定された選手として歴史に残る。
過去の選手でも、
その他たくさんの個人の金メダルを期待されながら取れなかった。
彼らも最大限の努力をしていたと思う。
羽生選手は十分に努力が報われた競技人生ではなかろうか？
