いつも笑顔で!(「水平線の先にある夢」の続きブログ)

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恋するカレン・みちのく純情篇


大学に入って新しい友達ができる瞬間ってどんな場面だっただろう?

ある友達からは、後日、僕を最初見たときの印象を
なんか「さわやかな好青年がきたなぁ」なんて思ってくれたそうである。
しかし、そのあとに続く言葉は、
「その最初の印象が違うことに気づくのは時間の問題だった」と・・・(´・ω・`)

大学での友達と遊ぶのは本当に楽しい。
この「鉄のライオン」の中での最初の友人が梶本というとても憎めないいいやつなのである。

田舎の仙台に残してきたカノジョといっしょに離れ離れになっても
アルバム「ロング・バイケイション」を双方で聴くと約束する。

しかし、実際にGWに仙台に行ってみると、カノジョという雰囲気ではなく
バスの中ではずっと押し黙って音楽を聴いていた梶本は、ようやく緊張がほぐれたように「可愛いだろ」と笑った。 香織ちゃんが来てくれて、ほっとしているーーー? なんでーーー? グループに合流すると、香織ちゃんがは「梶本くん、ひさしぶり」と笑いながら声をかけた。屈託がない。なさすぎる。これは恋人同士のひさびさの再会の挨拶てなく、「いつまでもいいお友だちでいましょう」の関係の二人の挨拶だ。  - 42ページ 
「いつまでもいい友達でいようね」という雰囲気で会話する程度の仲であり、
遠距離恋愛ーーー。正確に言うなら、それは梶本の遠距離片思いだったのだ。  - 44ページ 
既にカレシがいたのである。
こういうところの梶本が憎めない。
しかし、作者も梶本の味方になり東京にはかわいいカノジョがいるというウソのフォローをするところが憎い。
あっけなく酔っぱらった梶本は、午後の特急で東京に帰ると言いだした。夜桜まで宴会をつづけるつもりだった仲間は不満そうだったが、梶本は呂律の回らない声で「カノジョが東京で待ってるから」と言った。「すごく可愛い奴で、寂しがりや」  

この物語の時代では、まだ東北新幹線ができておらず、
作者は夜行急行で仙台まで行っている。
おそらく「八甲田」でなないかと思う。
僕も初めて北海道に行った時に夜行急行「八甲田」に乗って青森まで行き、
そこから青函連絡船に乗ったのが懐かしい。

この物語では大瀧詠一の「ロング・バイケイション」のBGMが効いている。
僕は、リアルタイムではあまりこの名盤を聴いていなかったので、
HDウォークマンを買ったあとで、3年ほど前に録音して全曲を聴いていました。

だから
一曲目の「君は天然色」のイントロ----ピアノのチューニングの音が聞こえたとたん、僕は十八歳の上京一年生に戻る。
34ページ
という一節のような感慨はない。

そして、再度、最近何回も聴き返してみた。

『ロング・バケイション』の中の「FUN×4」では、女性の「散歩しない?」という甘い声が入る。
 その声の主は誰だったのだろう。僕は「ぜーたっいに太田裕美だ!」
 と言い張ったが、梶本は「違う違う、そんなわけないだろ」と譲らなかった。  - 34ページ 



この女性の「散歩しない?」という甘い声だが、どう聴いても太田裕美とは思えない。

そして、梶本が好きなのは「雨のウェンズデイ」、主人公が好きなのは「恋するカレン」
最近、聴いていてA面の曲よりもこのB面の「恋するカレン」「FUN×4」から最後の曲である
「さらばシベリア鉄道」へ続く3曲の流れが最も心地よく聴こえるのだ。


詩の内容にはこっちがあってるかな?


この記事を書いて数時間後、なんと大瀧詠一さんの訃報が伝えられました。
なんというタイミングでしょう。
ご冥福をお祈りします。