いつも笑顔で!(「水平線の先にある夢」の続きブログ)

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ドイツの戦略勝ちだがブラジルの敗退は必然

準決勝第1試合は「ブラジルvsドイツ」というサッカーファン待望のカード。
ワールドカップでは2002年大会以来、まだたったの2回目という対戦カードだ。

これは、いつも組み合わせ抽選をする前からこの両者が決勝でしか当たらないようになっていたからで
今大会はどういうわけか準決勝で当たるように設定されていた。
ここにFIFAの何らかのメッセージがあるはずだ。

それはおそらくアルゼンチンを決勝に進出させることなのではないかと思う。


さて、今朝の試合であるが、始まって5分でこの試合はドイツが3-0ぐらいで勝つのではないかと思った。
準決勝までくると負けても開催国は3位決定戦に出られるため審判の有利な判定の恩恵はなくなるのがワールドカップの常識だ。

それに今大会のブラジルは中盤がなく、チアゴ・シウバの守備とネイマールの得点力だけで勝ってきた。
というよりスコラーリ監督がネイマールを生かすためのカウンターサッカーを採用していたのだから
そのネイマールと守備の中心チアゴ・シウバがいないのだから既に運頼みの状態になっていたと言える。

もし、ネイマールチアゴ・シウバがいても今大会のパス成功本数を見るとドイツ断トツで
ブラジルははるかに及ばない。
よって、ブラジルが生き残る道は先制点を奪って全員で守るしかなかったはずである。

そして、コーナーキックからドイツが先制したことによりドイツの大勝になるのではないかと感じた。
結果は予想をはるかに上回る7-1というスコアとなったが、妥当な結果である。

このドイツ勝利に関してテレビ解説していた森島氏は
「自分たちのサッカーができたドイツが・・・」
というコメントを発した。
これはまったくわかっていないコメントだと思う。

雑誌Numberにドイツ監督のヨアヒム・レーブ氏のインタビュー記事が載っていた。
そこに書かれていたことはとても重要なことだ。
去年のコンフェデレーションズカップを視察したドイツチームのレーブ氏とスタッフは
南米の大会でヨーロッパのチームが優勝できていない理由を探った。
結果として、変化のある気候、ピッチ状態などを含めて、ヨーロッパでやっている戦い方では
勝てないと分析した。
南米のチームもヨーロッパの大会では南米とは違う戦い方をしてきており、
そういうところをヨーロッパのチーッムは学ぶべきだという見解だった。

そして、2010年大会以降取り組んできたポゼッション重視で前からハイプレッシャーを
かけるような戦い方ではなく、相手ボールになったらリトリートして自陣にいったん引いて
カウンターをかけて戦う方が体力面等を考慮するとベターであるとの結論に達したそうだ。

今大会のドイツは2年前のポゼッションサッカーを捨てて2010年時のカウンターサッカーで
戦うことにしたのだそうだ。
その中で基本的な1対1の戦いで勝つというドイツらしさを出してくとしたそうだ。

そして、このブラジル戦のあとのクローゼのインタビューでよりはっきりしたことがある。
この試合で相手のブラジルチームを分析して、その結果としての戦い方がうまくいったのだと。

この試合のドイツは慎重に入り、最初はブラジルが押し込んできたもののまったく
危なげなく守り、するどいカウンターを左サイドバックのマルセロの上がったあとを使い、
中の急造センターバックをパスワークで崩すというまさに狙った通りだったのだろう。
試合は先制点を取れたことで終始ドイツはカウンター狙いで予想以上にうまくいいったと思う。

しかし、大会を通じてドイツは試合の場所、相手によって戦い方を変えている。
これはかたくなに「自分たちのサッカー」をしようとした日本とは正反対である。
ドイツも昔のドイツとは戦い方も違うし、大会ごとに違う。
選手、監督が代わればサッカーも変わるのである。
ただ、民族的な体格、セオリーみたいなものが違うだけでチームの色が出るだけなのである。

戦い方はいつでも勝利のために臨機応変にかえられなければならない。
日本のサッカーースタイルなど昔から
ショートパスを主体にした小気味よいサッカーであるから
いまさら日本のサッカースタイルを作るなどまったく論外だ。

日本のテレビで解説をしている元選手の解説が悪すぎる。
視聴者のレベルに合わせているところもあるかもしれないが、
サッカーファンでも言えるような分析しかできない。
サッカー雑誌に掲載されるような緻密で数字やデータを駆使した分析と予測をしてくれる人は
非常に少ない。

特に民放で解説している元選手はほぼ全滅だ。
もっとサッカーを勉強してほしい。
この点ではサッカージャーナリストの方がはるかに上である。

これで決勝の1チームがヨーロッパになった。
こうなるとFIFAは決勝のもう1チームを南米にするために
アルゼンチン有利な笛が吹かれるだずだ。
そしてアルゼンチンが勝ち、決勝でもアルゼンチンが勝つだろう。

もし、オランダがアルゼンチンに勝つようなことがあると
それはワールドカップの歴史に残る大番狂わせであり、
その驚きはスペインが大敗したことより、ブラジルが大敗してことより大きなサプライズである。
たとえPKや1点差であってもオランダが決勝に進出することはそれぐらいの歴史の壁があるのだ。

ヨーロッパ対ヨーロッパの決勝をFIFAはなんとしても避けようとするだろう。