いつも笑顔で!(「水平線の先にある夢」の続きブログ)

Yahoo!ブログで書いていた「水平線の先にある夢」の続きをこちらで書いています。2018以前のコメント付き過去記事はFC2ブログにあります。https://w2002moni.blog.fc2.com/

涙流れるままに(下)読了

2か月かかってやっと読み終えた。
人間ドックの待ち時間にでも読もうと本を持ちながらの検査となった。

検査が終わって安堵して昼食を食べたあと、熱心に読みふけっていた。
帰宅してからも続けて読んで読み終えた。

やっぱり最後の方はいつも読み進むのが早くなる。

この作品では
盛大な加納道子の半生の全貌がやっと明らかになったこと。
最後はとてもよい気分で読み終えられたことがなによりだった。

この作品以前の島田作品は一部のノンフィクションを除いてすべて読んでいたので
十二分にこの作品を堪能できた。

いろんなところで、過去の作品は読んでいないが、それでも楽しめたというような書評を書かれている方が多いけれど、やっぱり過去の作品をすべて読んでいて、これまでの流れとか人物像を熟知していて読むのとでは感動の差は大きいと思う。

単独で読んでも確かに楽しめるのだけれど、どうしても登場人物への愛着が違うと思うからだ。

この作品は週刊誌の『週刊宝石』で連載されていたせいもあるのだろうけど、
官能小説と見まがうような描写のエッチなシーンがよく出てくる。
こういうのは、週刊誌の性格上、出版社からの要請もあったかもしれないし、
加納道子のこれまでの影の暗さの謎としてはしっくりもくるものなのでまあしょうがないところもあるかなと思う。

ああいい女性心理を描くのは島田荘司氏の十八番でもある。
女性にはああいう心理があるとは思うが、決して口に出して言う人は稀である。
男性だけでなくああいういやらしいことを夢想するのは当然女性にもあるわけで
そういうものがなければとうの昔に人類は滅亡しているはずなのである。

どういうわけか女流作家は汚い世界を描くことはあるが、
本当の意味で正直な女性心理を書いている人はあまりいないように感じる。
どうしても女流作家はオブラートにつつんだような書き方をする。
行動は書くが生の裏の行動を起こさせる心理状態を正直に書かないように思うのだ。

エロ本は買わないけど、女性ファッション雑誌のSEX特集は売り切れるとか、
小説でも官能小説まがいの描写をしているものが女性受けして大ヒットしたりする。
少し古いが、村上春樹の「ノルウェイの森」の大ヒットなどはもっともたるものだと思う。

この「ノルウェイの森」がヒットしたころ、当時付き合い始めた女性が読んだとかで、
面白いと言うので読んでみた。
すると、これが、あまりにもエッチな描写が多くてびっくりした記憶がある。
その女性は清純そうでものすごくまじめなお嬢様風だったので、
「こんなものを読んで面白かったと言ってるのか?」
と思い、そのギャップで、”こんな娘が?どういうこと?”と考えることがあった。

しばらくして、その娘と、とある喫茶店でお茶を飲んでいたら、村上作品の話になり
シリーズで出てくるイルカホテルの話しになった。
すると、なんと!?落ち着いた声で
「いつになったら、そういうとこいけるかなー?」
とつぶやいたのだった。
清純でまじめそうなお嬢様だから、突然のこの発言にこちらはその瞬間、固まってしまった。

やはり、加納道子のような感情は多くの女性が持ってるものだろうと思うのである。


話しが横道にそれてしまったので、作品に話しを戻す。

今回の舞台は東京、森岡、釧路、札幌、天橋立、京都、大阪である。
そこそこ有名な場所の描写もあって自分もすべて行ったことのあるところだから
だいたいの街の情景や感覚がわかってよかった。
島田作品の初期の作品を読んでいたころはまだ行ったことないところが多かったので
作品を読んだ後、作品で出てきた場所に行ってみたりしたものだ。

弥彦山明治村などに行ったのはそういう理由でもある。

作品が書かれた時代は今と違ってインターネットや携帯電話など普及していない時代である。
人物や会社などの所在地の調べ方が現地に行って電話帳で調べるというところが綱渡りである。
今ならインターネットで簡単に調べられるし、予約などもスマートフォンで簡単にできるだろう。

どうやら、この作品についての感想などを述べるのは1回の記事では無理のようなので今回はここまでにして後日、続きを書こうと思う。