いつも笑顔で!(「水平線の先にある夢」の続きブログ)

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放課後

東野圭吾さんの作品が気にいったため、初期の作品から読んでみることにしました。

この「放課後」は第31回江戸川乱歩賞受賞を受賞している作品です。
乱歩賞というのは新人作家にとっては憧れの賞であるらしく、
東野家語さんもこの作品の前にも
1983年『人形たちの家』第29回江戸川乱歩賞二次予選通過
1984年『魔球』第30回江戸川乱歩賞最終候補
とい形で候補止まりであったため、受賞は大変な喜びがあったと思われ、
専業作家として踏み出すきっかけとなった作品のようです。

東野圭吾さんは伊坂幸太郎さんなどと並んで今や飛ぶ鳥を落とす勢いの人気作家ですが、
初期の頃はあんまり売れなくて苦労していたようです。


そこで、デビュー作とも言えるこの「放課後」の感想です。

どうやら、乱歩賞の選評では、「動機」に対する、厳しい意見が相次いだらしいです。
確かに、読み終えた後はやっぱりこの「動機」は殺人に値するものかどうか?というのは
考えましたね。
しかし、時間をかけて温められた動機ではないかという解釈の仕方もあり、
それとその後の時代における殺人動機から判断すると時代を先取りしたものとして
今になって再評価されているようでもあります。

ミステリー作品としては、単純にトリックを中心としたものでそれが1つの面白さの中心
になっています。
しかし、この密室トリックでの「心張り棒」の扱いはちょっと気に入りません。
警察の調査では外側から掛けることができないものとしていながら、
ダミーではあるものの戸を閉めたときにはきちんとスライドして掛かったようになっています。
換気口から見たときにその状態がキチンと見えるか見えないかの細かい判断を
事前にすることは難しいのではないかと思います。
ただ、ストーリーとして一旦、囮トリックとして読者を信じさせ、真相は別のところにあった
というのは面白い展開でした。

女子高が舞台ということで、女子高生の実態がどうなのかということについてはどうなのでしょう?
先生の誘惑するようなシーンが出てきますが、こんなのを教師志望の男子学生が読んでしまうと
みんな女子高の先生になりたいと思うのではないでしょうか?
しかし、女子高の教師をしていた知り合いに聞くと、どうもストレスばかりが募ってたようでした。
このあたりは学校によってもかなり違うのでしょうね。

今回、東野圭吾さんの初期の作品に触れてますます興味は深まるばかりです。