いつも笑顔で!(「水平線の先にある夢」の続きブログ)

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「ジーコの指摘-試合時間」by Number


9/21発売されたNumberのジーコの記事のことは先日も触れたが、
1つ気になることを書き損じていたのでここで触れておくことにする。

その気になる指摘のこととは、
「試合時間がグループリーグで2試合続けて昼に設定されていたチームは1チームも決勝トーナメントに進んでいない」
ということだ。
このことは、試合日の間隔、移動距離、が大きく試合結果に影響してきた歴史があるW杯では、注目してみる価値のあるものだと思う。

試合時間が連続して昼間に設定されていたチームを調べると以下のチームであることがわかった。

Aグループ エクアドルコスタリカ
Bグループ なし
Cグループ セルビア・モンテネグロ
Dグループ ポルトガル、イラン
Eグループ なし
Fグループ 日本
Gグループ トーゴ
Hグループ なし

自分で調べてみると、ポルトガルが2試合続けて昼間の試合をしているのに決勝トーナメントに進んでいることがわかった。
ジーコの言う”1チームもない”というのは誤りだということがわかったが、指摘の内容を考えてみると間違ってもいないようにも思える。
それは、ポルトガルは2試合目と3試合目に昼間の試合をこなしているのだが、2試合目で決勝トーナメント出場を決めてしまってい
たからである。よって、ポルトガルの例は実質的に除外できるということになるだろう。

上記のチームを見てみると、強豪国と言われる国は入っていない。これはなぜなのかということがポイントなのだ。
それは、1つにFIFAの思惑というものが絡んでいそうである。
まず、ヨーロッパの人々が観たい時間(ヨーロッパの夜のゴールデンタイム)に合わせて試合時間が決まっているということなのだ。
それが何につながるのかと言うと、テレビスポンサーの契約に関係しているのである。

アメリカ大陸で大会が行われる場合、ヨーロッパのゴールデンタイムに合わせて、現地時間の昼間に試合時間が設定されてきた。
暑かった'86メキシコ大会や'90アメリカ大会では、そのことがビジネス優先であり、いい内容のサッカーを求めるためのものではなく
選手のコンディション無視の方策として批判されてはいた。
しかし、大会はファン、スポンサーあってのものであるから、FIFAもこのやり方を変えるつもりはないようだ。

結果として、今回もヨーロッパ人がもっとも観やすい時間に(ヨーロッパ人から見て)好カードが組まれることになった。
だから、ブラジルの試合はすべて夜に設定されていたのだろう。
ただ、イングランドや地元ドイツも1試合は昼の試合が組まれていたのだから、この点に関しては露骨でなかったとも言える。

日本の場合は日本のテレビ局が日本の夜に放送できるように圧力を掛けたと噂された。
たしかに、オーストラリア戦、クロアチア戦は深夜ではなく程よい夜の時間に放送されたことによって視聴率はあがったことだろう。
しかし、日本のテレビ局はその事実はないと否定しているようだ。

これらのことから、事前にある程度、試合時間の操作があったことは事実であろう。
問題はそれが試合結果にどれだけ影響をもたらしたかということである。
上記に上げたチームをざっとみると、戦力的にも確実に決勝トーナメントに進んでいたチームは存在しない。
それに、試合時間もさることながら、試合日の間隔が1日ずれていたりすることもあったのだから、これを大きな要因として考えるこ
とは難しい。

例えば、セルビア・モンテネグロの場合、日本と同じ1試合目と2試合目が昼間の試合に設定されていた。
しかし、2試合目に対戦するアルゼンチンが中5日であるのに対し、セルビア・モンテネグロは中4日で試合が組まれていたのだ。
しかもアルゼンチンは第一試合は夜だったために消耗は少なかったと思われる。
試合前からセルビア・モンテネグロは第2試合のコンディションに関してはかなり不利な状況だったわけだ。

そして、日本の場合もセルビア・モンテネグロと同様に1試合目と2試合目が昼間の試合に設定されていたが、
第2試合時点で、日本が中5日だったのに対し、クロアチアは中4日という具合に設定されていたのだ。
日本は第1試合は昼で消耗が激しかったが、中5日。
クロアチアの第1試合は夜で消耗が少なかったが、中4日。
これは非常に微妙である。そして結果も引き分けと言う微妙なところに落ち着いている。

また、上記の国を見ていると、ポルトガルを除いて初戦を勝っているところがない。
これは重要なことなのである。初戦ということに関して言えば、ジーコの言う”連続した昼間の試合”という状況が結果に影響するこ
とはない。初戦は、お互いに同じ条件で試合することができるのだ。
結局はそこで勝てなかったことの方が大きいような気がするのだ。
初戦で勝てないことは何を意味するか?
それはやっぱりチームとしての総合力なのではないかと思う。
選手のスキルだけでなく、監督の手腕、サポートする医療チームや食事管理、メンタル管理を行うスタッフ、
準備試合をスケジューリングする協会関係者、そして、それらのすべての事に影響を与える国民(サポーター)の熱意。

もっと言えば、これらのグループリーグ落ちしたチームは初戦を落としただけでなく、2戦目以降も確実に勝利するだけの
力がなかったと言えるのではないかということだ。本当に強いチームであれば、何らかのアクシデントで初戦を落としても
2戦目以降に立て直して勝ち抜いていくのではないかと思うのだ。
アトランタオリンピックを思い出してもらいたい。
初戦で日本に敗れたブラジルは見事に第2、3戦に連勝してグループリーグを突破したではないか?
日本などの国は所詮、運良くグループリーグを勝ち抜いてもおおよそ決勝トーナメントで早期敗退したと思えるのだ。

僕は、今の段階では、ぎりぎりでも奇跡的でもいいから勝ち上がって欲しかったのが事実である。
しかし、将来、日本が今のブラジルのように大会前から圧倒的な優勝候補に推され、その通りに優勝して欲しいと思っている。
そのためには、トルシエジーコの言うように、まずは細かいディテールの効果でもいいから、勝ち上がり、自信を付けていくことが
必要なのだろう。