いつも笑顔で!(「水平線の先にある夢」の続きブログ)

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イタリアW杯1次予選アウェイ香港戦観戦ツアー②


ツアー2日目(試合前日)
夕方は台風がひどくなってホテルから出るのも大変だったので、ツアーの他のメンバーとホテル前のレストランで飲茶(やむちゃ)をすることになった。そのときは飲茶なるものを知らなかったのオーダーの仕方などもわからなかった。おばちゃんがワゴンに載せた料理を押して何か言いながら周ってくる。それを欲しいと言うと、それをお皿単位でテーブルに置いてくれる。小さなお皿単位なので、いろいろな料理が楽しめるし、現物の料理を目で確かめられるので、メニューを解読する必要もなく便利である。
これは結構おいしかった。

食事の後、ロビーに集まって添乗員(現地香港人係員)から説明があった。
台風に関する説明であったが、ここで日本と香港の違いを知ることになった。
日本では台風3号というとそれは今年3番目に近づいてくる台風のことだが、香港の場合は**号というのは台風の(勢力の)大きさをさしているのだということだ。最初、添乗員の説明でこれが**号になるとまずいが、今のままなら大丈夫というような言い回しに困惑していたけど、よくよく説明を聞いていて、みんなでそういう意味だろうね、ということで共通認識しあった。試合はできるだろうか?

夜、みんなでテレビを見ていたときのことだ。
たしか、FAカップの決勝の放映があったのを覚えている。
それとともに、何だか北京でデモのようなものをやっている風景が映し出されていた。
そのときは、まさか、それが自分たちにも重大な影響をもたらすことなど知る由もなくただ眺めていた。

そして、夜が明けた。台風は去っていた。
これなら、試合はできるだろうと思った。試合は午後なので、午前中は街中に観光に出かけた。
試合時間が近づいてきたので手っ取り早くタクシーで帰ろうと思い地下鉄の駅から地上にでた。すると、大規模なデモ行進に出くわした。どうも、北京のデモ行進と関係があるらしい。タクシーに乗っても、このデモのせいでなかなか進まない。地下鉄で帰ればよかったが、ホテルでの集合時間はせまってきていた。かなりあせったがなんとか時間ぎりぎりにホテルにたどり着いた。
ところが、である。
なんと、試合は中止になったというのである。表向きの理由は台風だろうであるが、実際にはこのデモの原因だそうである。(のちに北京での天安門事件に対するデモと判明)この状況で、日本戦など強行することによって民衆の怒りが日本に向けられて、暴動になることを恐れたのだ。前回のメキシコワールドカップ予選のときも香港の観客は、鳥の骨を日本人サポーターに雨あられのように投げつけるような敵意を表していたのだというから、可能性はあったと思う。

そして、問題は中止された試合の扱いがどうなるかということだった。添乗員の説明では、最初、1日延期して行われるかどうかはっきりとわからないということだった。ツアーの日程では明日、帰国することになっている。しかし、1日だけの延期が確実であれば、何とかツアーも延期して観戦して帰ろうか難しい状況であった。添乗員の説明では、個人的な判断で1日延期した場合、帰国便の料金は別途自分で支払わねばならないという。

このときの判断は非常に難しかった。気になるのは一緒に参加した先輩のことだった。先輩はお金のこと、会社のことを考慮して、帰るとのことだった。僕の場合は、もう1日会社を休むのはあまり問題ないように思えた。ただ、航空料金はたしか6万円くらいと説明されたようだったが、本当に試合が開催されるかが心配だった。また、延期ということになれば、航空料金は追加料金を取られ、試合は観れないし、会社も休むことになる。迷ったけれど、一緒に参加している先輩だけ帰すわけにはいかないと思い、帰国することにした。ツアーに参加したメンバーも7、8割は帰国を選択することになった。

帰国便に搭乗する前に空港に帰国を選択したみんなが集合して説明があった。
試合が決行されることを聞いた。むなしかった。
しかし、もうどうすることもできなかった。