息子が手術室に運ばれて行って、控え室に入りました。
その控え室にはソファが４列ほど並べられていて、
６、７人ほどの人がいました。
大きな小児病院なので手術室がいくつかあるのでしょう。
よくドラマであるような手術室の前で患者を見送って
「手術中」のランプが付いている手術室の前の廊下の冷たいベンチで
待つイメージがありましたが、違いました。
一番前のソファが空いていたのでそこへ座りました。
この手術中に待つ時間というのはつらいだろうなと予測していましたが…
嫌な時間です。
午後３時ということで前にあったテレビでは
ドラマ「古畑任三郎」の再放送が始まるところでした。
最初、本を読もうと思っていましたが、どうも
能動的な行動をする気も沸かないためソファに頭をつけて
ぐったりとした状態になって身を任せて、「古畑任三郎」
を見て気を紛らわせることにしました。
どうせ１時間ちょっとかかる手術を言われているので準備などを
考えるとその前に手術が終わるとも思えなかったんです。
「古畑任三郎」では田中美佐子が犯人役の回でした。
昔見たかも知れませんが既に内容は忘れています。
極力内容に没頭するように努めましたが、ときどきため息がでます。
待合室で待っている他の方々もシーンをしています。
連れ合いは最初、別のところに弁当を食べに行って戻ってきましたが、
睡眠不足のせいか、ぐったりして寝ていました。
途中、別の家族が呼ばれて、何か説明を受けていました。
手術が長引いている家族に対しての説明のようでした。
家族の方が、”最初から長くなると予想していましたので”と応えていました。
よほどの大手術なのかもしれません。
テレビでは「古畑任三郎」が終わると、ドラマ「ロング・バケーション」が
始まったようです。
人気のあったドラマですが、僕は見たことありません。
話題のドラマをこういう機会に見てみるのも思い出になるかもしれません。
手術の時間が１時間ちょっとというと、そろそろ終わる頃ですが、
準備とかいろいろあるでしょうから、１時間半から２時間弱だろうと思っていました。
途中までしか見れないとは思いましたが、とりあえずはストーリーを追うことにしました。
さすがに４時１５分ごろからは２、３分おきに時計を見ていました。
４時半になりましたが、まだ呼ばれません。
あまり遅くなると、手術中に何かあったのかと不安になります。
そろそろ終わって呼ばれたいと思っていた頃でした。
名前を呼ばれました。
とっさに時計を見ると４時４５分になっていました。
