いつも笑顔で!(「水平線の先にある夢」の続きブログ)

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夢先生

 皆さんは「夢先生」(ユメセン)をご存じだろうか。
日本サッカー協会(JFA)は「こころのプロジェクト」の一環として、トップレベルの経験を持つ選手や元選手に1日限りの先生になってもらっている。そんな彼、彼女らを「夢先生」、訪問先を「夢の教室」と呼んで、各地の教育委員会と連携しながら全国の小学校で開講している。

今、読んでいる本、

川淵三郎さんの『「J」の履歴書 日本サッカーとともに』の”はじめに”に書かれている冒頭部分です。

もちろん僕はコアなサッカーファンであるから、この夢先生のことは立ち上げ前から知っているけれど、

一般の人には知らない人もいると思うので、ここで紹介したいと思います。



プロサッカーのJリーグは定着して、ワールドカップ(W杯)の常連にもなりました。

サッカーの普及という、3つあるJリーグの理念の中の1つの目的はある程度果たしたと感じ、

そこで、競技力の向上以外に何か社会に恩返しできないかと思った川淵さんが、

「夢」というキーワードを手がかりにJFAの田嶋幸三専務理事、手嶋秀人広報部長らと行き着いたのが

このアスリートを生きた教本にするというプランでした。



川淵さんは、子供たちのいじめや自殺が社会問題としてメディアで報じられているのを見て、

サッカーの技術指導ではなく子供の人間力を育み、強い心を持った子供を育てるのにサッカー界が

手助けできることがあるのではないかという思いでいても立ってもいられなくなって

このプロジェクトを立ち上げたそうです。

(「JFAこころのプロジェクト」HPはこちら




夢先生はサッカーだけにとどまらず、201名のさまざまな競技のアスリートたちが教壇に立っています。

ラソン有森裕子さん、モーグル上村愛子さん、水泳の岩崎恭子さん、テニスの松岡修造さんら

多岐に渡り、2008年度だけでも46都道府県と海外3ヵ国(日本人学校など)で計696回

開かれていて、小学校の数で302校、受講児童は延べ2万2027人にも登るそうです。



「夢の教室」が始まって数か月後、夢の教室を実施したある児童から夢先生のところに一言シートが

届けられたそうです。

その中に1枚、文章の一部が紙で覆われ、そこに〔夢先生にだけ読んで欲しい〕という一言が

添えられており、夢先生を務めた元Jリーガーの彼がその紙をはがしてみると、

そこには、未来に希望が持てず自殺を考えていたが、夢先生の話を聞いて死のうなんて

思わなくなった、といった気持ちがしたたまれていたそうです。



別のところでは、

ある夢先生が小学校時代、サッカーが上手いことが理由でいじめに遭った話をしたところ、

それを聞いた1人の男児がすすり泣きをし出したそうです。

あとで担任の先生に聞くと、その少年は野球が上手で、所属するチームで夢先生と同じ

状況に置かれていたそうなのです。

しかし、夢先生はあえてその男の子に理由を問うことはしなかったらしいです。

泣きながらも、、食い入るように先生の話に聞き入っていた少年の姿を見て、

この少年は大丈夫だと思ったとのことです。

このような思いやりのある判断ができるのも、幾多の挫折や失敗を繰り返してきた

経験をしているアスリートたちだからなのでしょうか?




川淵さんは『「J」の履歴書 日本サッカーとともに』のはじめにの中で以下のように語っています。

 何百人のうちのたった一人でも、夢先生の人生に勇気づけられる子供がいたとしたら、このプロジェクトをスタートさせた甲斐があるし、そこにこのプロジェクトの価値があると思う。


Jリーグの開会宣言を覚えていますか?

スポーツを愛する多くのファンの皆様に支えられまして、

Jリーグは、今日ここに大きな夢の実現に向かって、その第一歩を踏み出します。

1993年5月15日、Jリーグの開会を宣言します。

Jリーグチェアマン、川淵三郎

この開会宣言、評価されているのは”サッカー”という言葉がどこにも出てこないことです。

まだまだ・・・夢の途中です。